「うちの障害者雇用は、定着しています」
経営者や人事責任者の方から、
この言葉を聞くことがあります。
3年働いている。
5年働いている。
勤怠も安定している。
大きなトラブルもない。
もちろん、
定着は重要です。
しかし私は、
中途重度障害者として働く当事者であり、
障害を負う前には、
仕事を任せ、
成果を求める側にもいたからこそ、
もう一つ確認したくなります。
その人は、
本当にキャリア形成できているのでしょうか。
それとも、
単に
「辞めていない」
だけでしょうか。
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■ まず、経営者・人事の方に
7つ確認してほしいことがあります
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御社で、
長く安定して働いている障害者社員を
一人思い浮かべてください。
そして、
次の問いに答えてみてください。
1.その人は、1年前より何ができるようになりましたか。
2.成長に合わせて、仕事内容は変わりましたか。
3.任される判断範囲は広がりましたか。
4.どの条件を満たせば、次の仕事へ進めますか。
5.何を成果として評価しているか、本人へ説明できますか。
6.今の上司が異動しても、同じキャリア支援を続けられますか。
7.3年後、その人にどんな仕事を任せているか説明できますか。
もし、
すぐに答えられないものが多いなら、
御社の障害者雇用は、
「定着」には成功していても、
「成長」の設計には、
まだ課題が残っているかもしれません。
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■ 「配慮がある」と
「キャリアがある」は別の話です
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障害者雇用では、
合理的配慮が重要です。
無理をさせない。
通院へ配慮する。
仕事量を調整する。
情報の伝え方を変える。
必要な設備を整える。
体調を確認する。
私は障害当事者ですから、
こうした配慮の必要性を、
実体験として理解しています。
しかし、
ここで一つ、
経営として切り分けて考える必要があります。
配慮があることと、
キャリアがあることは、
同じではありません。
人は、
仕事に慣れます。
できなかったことが、
できるようになります。
最初は必要だった支援が、
不要になることもあります。
本人は、
変化している。
ところが、
会社側の仕事は、
何年経っても変わらない。
採用時に任せた仕事を、
3年後も続けている。
本人は成長したのに、
職務は更新されない。
そして、
新しい仕事について話すと、
「今の仕事を安定して続けてもらえれば十分です」
と言われる。
これは、
本人を思っての言葉かもしれません。
しかし、
働ける当事者から見ると、
別の意味にも聞こえます。
「これ以上は期待していません」
というメッセージです。
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■ 最も危険なのは、
不満を言わない優秀な人材です
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会社に不満がある人は、
問題を言葉にしてくれることがあります。
しかし、
働ける人ほど、
必ずしも不満を訴えてから辞めるとは限りません。
勤怠は安定している。
仕事もできる。
上司との関係も悪くない。
合理的配慮もある。
評価も極端に悪くない。
会社側から見ると、
「問題のない社員」
です。
しかし本人の中では、
「ここにいても、
自分の仕事はもう広がらない」
という判断が、
静かに進んでいる可能性があります。
役職を求めているとは限りません。
もっと専門性を高めたい。
判断できる範囲を広げたい。
別の仕事も経験したい。
改善に関わりたい。
誰かに教えられるようになりたい。
一人の人材として、
成長したい。
そう考えることは、
障害の有無とは関係ありません。
ここで会社側に、
次の仕事がなければ、
本人は、
会社の外に選択肢を探し始めます。
しかも、
それは突然起きるように見えます。
しかし実際には、
もっと前から始まっています。
私はこれを、
**「静かなキャリア停滞」**
だと考えています。
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■ 定着率だけを見ていると、
この問題は見えません
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定着率は、
もちろん重要な指標です。
しかし、
定着率だけを成功指標にすると、
一つの問題が起きます。
現状維持が、
成功に見えてしまうことです。
例えば、
勤続5年。
離職していない。
勤怠も安定。
トラブルもない。
この数字だけを見れば、
成功事例です。
しかし、
その5年間で、
仕事内容が変わっていない。
任される判断が増えていない。
評価基準も曖昧。
次の役割も示されていない。
のであれば、
それは、
「安定している」のではなく、
「止まっている」
可能性があります。
経営として見るべきなのは、
何年在籍しているかだけではありません。
その期間に、
どれだけ
**仕事・権限・役割・選択肢が増えたか**
です。
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■ 仕事そのものに
「次」がありますか
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障害者雇用では、
採用時に、
こう考えます。
「この人にできる仕事は何だろう」
これは必要です。
しかし、
この問いだけで設計すると、
職務は固定化します。
例えば、
最初はデータ入力を任せた。
本人が習熟した。
処理速度も上がった。
ミスも減った。
それでも、
次に任されるのは、
入力件数を増やすことだけ。
これは、
仕事量の増加ではあっても、
必ずしもキャリア形成ではありません。
本来なら、
仕事には段階を作れます。
入力する。
↓
確認する。
↓
例外を判断する。
↓
改善を提案する。
↓
標準化する。
↓
他者へ教える。
このように、
同じ領域でも、
仕事の複雑性や
判断範囲を広げることができます。
しかし、
会社側が
仕事をそこまで分解していなければ、
本人が成長しても、
上がる階段そのものがありません。
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■ 「一人では任せられない」は、
本当に本人だけの問題でしょうか
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現場では、
こういう言葉もよく出ます。
「まだ一人では任せられない」
もちろん、
本当に経験が足りないこともあります。
しかし、
一度、
会社側も確認してほしい。
仕事のゴールは、
説明されているか。
合格基準は、
明確か。
本人が判断してよい範囲は、
決まっているか。
どの状態になったら、
上司へ相談するのか。
例外時の対応は、
整理されているか。
必要な情報へ、
本人がアクセスできるか。
これらが曖昧なまま、
「自分で判断してください」
と言われても、
難しいのは当然です。
本人に判断力がないのではなく、
**判断するための構造が会社側にない。**
という場合があります。
ここを見誤ると、
本人には、
「もっと主体的に」。
管理職には、
「もっと丁寧に支援して」。
と求めることになります。
しかし、
仕組みが変わらなければ、
同じ問題は繰り返されます。
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■ 「理解ある上司」がいる会社ほど、
確認してほしいことがあります
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障害者雇用に理解のある、
優秀な管理職がいる。
本人の特性を理解し、
仕事を調整し、
困ったときには相談へ乗り、
次に渡せそうな仕事まで考える。
素晴らしい管理職です。
しかし、
経営としては、
もう一つ見なければなりません。
その上司が、
明日異動しても、
同じキャリア支援が続くでしょうか。
もし、
「あの課長だからできている」
のであれば、
それはまだ、
会社の能力ではありません。
その管理職の能力です。
配慮。
仕事の任せ方。
本人が判断できる範囲。
現在の成果。
次に任せる仕事。
成長の履歴。
これらが、
管理職個人の頭の中だけにあるなら、
管理職が変わった瞬間、
本人のキャリアまで
リセットされる可能性があります。
善意が問題なのではありません。
善意を、
会社の仕組みに残していないことが問題です。
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■ 配慮と期待は、
対立するものではありません
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私は、
中途で重度障害を負いました。
現在は、
障害者雇用の当事者として働いています。
だからこそ、
できない方法があることも知っています。
時間がかかることもあります。
配慮が必要な場面もあります。
しかし、
配慮されることと、
期待されなくなることは、
同じではありません。
できない方法なら、
変えてほしい。
でも、
できる仕事まで、
取り上げてほしくはない。
成果は見てほしい。
できることが増えたら、
仕事も広げてほしい。
一人の人材として、
評価されたい。
そこから、
私が大切にしている考え方があります。
**成果は守る。
方法は疑う。**
**人には期待する。
仕組みで支える。**
本人に成果を求める。
しかし、
成果へ至る方法まで
一つに固定しない。
仕事。
環境。
情報。
道具。
権限。
配慮。
を再設計する。
それが、
人と仕事を接続する
Work Fitの基本だと考えています。
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■ 障害者雇用のキャリア停滞は、
人事制度だけでは解決しません
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キャリアパスというと、
人事制度を見直そうとします。
等級制度。
昇進制度。
研修制度。
評価制度。
もちろん、
必要です。
しかし、
その前に確認するものがあります。
今の仕事から、
次に何を任せるのか。
どの成果を出せば、
次へ進めるのか。
本人へ、
どこまで判断を任せるのか。
誰が評価しても、
同じ基準になるのか。
上司が変わっても、
成長履歴を引き継げるのか。
本人が成長したとき、
会社側に
次の仕事があるのか。
つまり、
問題は、
人事制度だけではありません。
**仕事。**
**情報。**
**権限。**
**評価。**
**成長。**
**継承。**
を接続する、
組織設計の問題です。
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■ これは障害者雇用だけの話ではありません
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この構造は、
障害者雇用だけに起きるものではありません。
新人。
異動者。
育児・介護社員。
シニア。
外国人材。
専門人材。
そして、
AI。
仕事を、
別の人や別の存在へ渡そうとしたとき、
同じ問題が現れます。
仕事のゴールが曖昧。
判断条件が曖昧。
例外処理が属人化。
評価基準が上司次第。
引き継げない。
次の役割がない。
障害者雇用は、
会社に問題を作っているのではありません。
会社の中に以前から存在していた曖昧さを、
より早く、
より鮮明に見せているだけかもしれません。
だから私は、
障害者雇用を、
組織の設計能力を見る
一つの経営テストだと考えています。
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■ では、御社は
「定着」で止まっているのか
「成長」まで設計できているのか
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ここまで読んで、
一つでも、
自社に当てはまると感じたものがあれば、
次にやってほしいことがあります。
有料記事を買うことではありません。
まず、
自社の現在地を確認してください。
私は、
障害者雇用における
評価・権限・職務拡張・キャリアパスの
曖昧さを確認できる
無料のセルフチェックを作りました。
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■ 障害者雇用・キャリアパス明確度診断
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全12問。
約3分。
確認するのは、
障害者本人の能力ではありません。
管理職が優しいかどうかでもありません。
確認するのは、
会社側の
「評価とキャリアの設計能力」です。
例えば、
・何を達成すれば評価が上がるのか
・合理的配慮と成果評価を分けられているか
・本人が成長したとき次の仕事があるか
・次へ進む条件が明確か
・成長に応じて権限が広がるか
・評価と役割拡張がつながっているか
・上司が変わっても評価基準が変わらないか
・成長履歴を引き継げるか
・3年後の役割を説明できるか
を確認します。
点数を競う診断ではありません。
目的は、
**「どこでキャリアが止まっているか」**
を見つけることです。
▼ 3分で確認する
【障害者雇用・キャリアパス明確度診断】
https://newlifestylesdlm.jp/disability-employment-career-clarity-diagnosis/
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■ 最後に、
一つだけ問いを残します
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御社で、
今一番安定して働いている
障害者社員を思い浮かべてください。
その人に、
「あなたが今の仕事を十分できるようになったら、
次はこの仕事があります」
と、
会社は言えるでしょうか。
さらに、
「その仕事へ進むには、
ここまでできればよい」
と、
本人へ説明できるでしょうか。
もし、
すぐに答えられないなら、
問題は、
その人が辞めるかどうかではありません。
**成長した先を、
会社がまだ設計できていないことです。**
辞めてから、
「優秀な人だった」
と気づくのでは遅い。
本人がいるうちに、
仕事を変える。
情報を渡す。
権限を広げる。
成果を評価する。
次の役割をつくる。
まずは、
御社の現在地を、
3分で確認してみてください。
▼ 障害者雇用・キャリアパス明確度診断
https://newlifestylesdlm.jp/disability-employment-career-clarity-diagnosis/
「辞めさせない会社」から、
「成長した人が、残る理由を持てる会社」へ。
障害者雇用の次の課題は、
そこにあります。
障害者雇用を「善意」で回し続ける会社へ
――私が有料noteマガジン「障害者雇用を『善意』から『経営システム』へ」を作った理由
「何を任せればいいか分からない」「配慮と成果の両立が難しい」「管理職ごとに対応が変わる」。そ…
「本気で生きている」は、経営では免罪符にならない
〜障害者雇用とマネジメントに欠落している「覚悟」の正体〜
「本気で取り組んでいる」は、経営では免罪符にならない。中途重度障害当事者であり、管理職として…












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