2026年7月に障害者法定雇用率2.7%へ|企業が今すぐ始める採用・定着・行政報告・受け入れ準備

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2026年7月に障害者法定雇用率2.7%へ|企業が今すぐ始める採用・定着・行政報告・受け入れ準備

2026年7月1日、民間企業の障害者法定雇用率は2.5%から2.7%へ引き上げられます。

障害者を1人以上雇用する義務が生じる企業の範囲も、常用雇用労働者40.0人以上から37.5人以上へ広がります。

そのため、これまで障害者雇用義務の対象外だった企業にも、採用と受け入れ体制の整備が求められます。

しかし、企業が本当に準備すべきなのは、障害者を何人採用するかだけではありません。

任せる仕事が決まっていない。
配属先の管理職が対応方法を知らない。
合理的配慮の判断基準がない。
相談経路や評価方法が曖昧である。
問題が起きると人事、現場、家族の誰かに負担が集中する。

このような状態で採用だけを急げば、本人も職場も疲弊し、早期離職につながる可能性があります。

2026年の法定雇用率引き上げは、単なる人数の変更ではありません。

企業に対して、

障害のある社員が、必要な配慮を受けながら役割を持ち、働き続けられる組織を設計できるか

を問いかけています。

私は31歳で脳出血を発症し、左半身に重い障害が残りました。

それまで当たり前だった働き方を失い、その後、障害者雇用を通じて社会へ戻りました。

当事者として働き続けるなかで分かったのは、障害者雇用の成否は本人の努力だけでは決まらないということです。

仕事の切り出し方。
指示の伝え方。
合理的配慮。
役割と期待。
評価と相談体制。
家族や支援機関との連携。

採用後の設計が、職場定着を左右します。

この記事では、2026年7月の法定雇用率2.7%への対応について、行政報告、採用、業務設計、合理的配慮、管理職対応、家族連携、定着支援までを企業向けに分かりやすく解説します。

人事担当者、障害者雇用担当者、経営者、配属先管理職が、実務チェックリストとして使える内容です。



この記事で分かること

この記事では、次の内容を確認できます。

– 2026年7月から法定雇用率がどう変わるのか
– 2026年の障害者雇用状況報告はいつ行うのか
– 6月報告と7月の制度変更をどう区別するのか
– 企業が採用前に準備すべきこと
– 障害者に任せる仕事の見つけ方
– 合理的配慮と成果を両立する方法
– 障害者雇用が定着しない原因
– 家族へ連絡する際の本人同意
– 管理職が面談で確認すべき質問
– 行政報告後に企業が取り組むべきこと



2026年7月から障害者法定雇用率はどう変わるのか

2026年7月1日から、民間企業の障害者法定雇用率は2.7%になります。

これに伴い、障害者を1人以上雇用する義務の対象となる事業主の範囲も、常用雇用労働者37.5人以上へ広がります。

2026年6月まで

– 法定雇用率:2.5%
– 対象となる企業:常用雇用労働者40.0人以上

2026年7月から

– 法定雇用率:2.7%
– 対象となる企業:常用雇用労働者37.5人以上

特に注意したいのが、常用雇用労働者37.5人以上40.0人未満の企業です。

これまで障害者雇用義務の対象外だった企業も、2026年7月以降は対象となります。

ただし、実際の雇用義務数は、短時間労働者、除外率、障害者の雇用区分などによって変わります。

自社の必要雇用人数は、最新の記入要領を確認し、必要に応じて管轄のハローワークへ相談してください。



2026年6月の行政報告は2.5%で行う

法定雇用率が2026年7月から2.7%になるため、

「2026年6月の報告も2.7%で計算するのか」

と迷う企業担当者もいるでしょう。

障害者雇用状況報告は、毎年6月1日時点の雇用状況を基準に行います。

2026年6月1日時点では、法定雇用率2.5%の制度が適用されています。

そのため、2026年の報告では、次の基準を使用します。

– 状況確認日:2026年6月1日
– 法定雇用率:2.5%
– 報告対象:常用雇用労働者40.0人以上
– 提出期限:2026年7月15日

2026年7月から2.7%になるからといって、6月1日時点の報告を2.7%で計算するわけではありません。

企業が間違えやすいポイント

2026年は、次の2つを分けて考える必要があります。

2026年6月1日の行政報告

2.5%・40.0人以上の基準で報告する。

2026年7月1日以降の雇用管理

2.7%・37.5人以上の新しい基準で不足人数や採用計画を見直す。

つまり、7月15日までに提出する報告を終えても、企業の2026年対応は完了ではありません。



障害者雇用状況報告とは

障害者雇用状況報告とは、対象となる事業主が、毎年6月1日時点の障害者雇用状況を厚生労働大臣へ報告する制度です。

実務上は、企業の主たる事業所で支店や営業所の情報を取りまとめ、管轄のハローワークなどへ提出します。

主な報告内容は次のとおりです。

– 常用雇用労働者数
– 短時間労働者数
– 雇用している障害者数
– 身体・知的・精神障害者の区分
– 重度障害者の人数
– 週所定労働時間
– 法定雇用障害者数
– 実雇用率
– 不足人数

在籍している障害者の人数を、そのまま数えればよいわけではありません。

障害の区分、重度区分、週所定労働時間などによって、算定上の人数が異なります。

前年の報告書をそのまま流用せず、2026年版の様式と記入要領を確認してください。



2026年の障害者雇用状況報告の提出方法

報告は、主に次の方法で提出できます。

e-Govによる電子申請

オンラインで提出できるため、複数事業所を管理する企業や、継続的に報告する企業に適しています。

電子申請には、GビズIDまたは電子署名を利用できるe-Govアカウントが必要です。

GビズIDの取得に時間を要する場合があるため、提出期限の直前ではなく、早めに準備します。

電子申請後は、送信内容や受付結果を社内で保管してください。

郵送

所定の報告書を管轄のハローワークなどへ郵送します。

記入漏れや到着の遅れを避けるため、期限に余裕を持って発送してください。

提出前の報告書は、PDFまたはコピーで保存します。

ハローワークなどへの持参

報告書を管轄のハローワークへ直接持参することもできます。

算定方法や記入内容に不安がある場合は、提出前に管轄窓口へ相談すると安心です。



2026年に企業が行うべき行政対応スケジュール

4月から5月:社内資料を整理する

報告直前に慌てないよう、次の情報を整理します。

– 常用雇用労働者数
– 短時間労働者数
– 障害者の雇用人数
– 障害者手帳の確認状況
– 障害区分と重度区分
– 週所定労働時間
– 休職者や退職者の状況
– 除外率の適用
– 本社・支店・営業所の集計範囲

人事、給与、勤怠、労務の情報を突き合わせ、担当者一人の記憶に頼らないことが大切です。

6月1日:雇用状況を確定する

2026年6月1日時点の従業員数と障害者雇用数を確定します。

この時点では、2.5%・40.0人以上の基準を使用します。

入退社や所定労働時間の変更がある場合は、6月1日時点の情報を正確に反映します。

6月上旬から7月上旬:報告書を作成する

報告書作成後は、次の点を確認してください。

– 常用雇用労働者数は正しいか
– 短時間労働者を正しく換算しているか
– 障害者の算定区分は正しいか
– 重度障害者の扱いは正しいか
– 週10時間以上20時間未満の対象者を正しく扱っているか
– 精神障害者の算定特例を確認しているか
– 除外率を正しく反映しているか
– 本社と支店の集計範囲に漏れがないか

できれば、作成者以外の担当者によるダブルチェックを行います。

7月15日まで:報告書を提出する

e-Gov、郵送または持参で提出します。

提出後は、次の資料を保管してください。

– 提出した報告書
– 算定根拠となる資料
– 電子申請の受付結果
– 郵送記録
– 受付印のある控え
– 社内確認記録

7月1日以降:2.7%で不足人数を再計算する

行政報告とは別に、7月1日以降の新基準で必要雇用人数を確認します。

6月1日時点では法定雇用率を達成していた企業でも、2.7%への引き上げによって不足が生じる可能性があります。

次の対応を進めてください。

– 新基準で必要人数を計算する
– 現在の不足人数を把握する
– 採用時期を決める
– 配属部署を選ぶ
– 担当業務を設計する
– 管理職へ制度変更を説明する
– 合理的配慮の検討方法を決める
– ハローワークや支援機関へ相談する



2026年から2027年までの実務一覧

時期| 制度・行政対応| 企業が行うこと
2026年4月〜5月| 6月報告の準備| 従業員数、障害者数、労働時間、区分を整理
2026年6月1日| 報告の基準日| 2.5%・40.0人以上で状況を確定
2026年6月〜7月| 報告書作成| 最新様式で作成し、ダブルチェック
2026年7月1日| 2.7%へ引き上げ| 2.7%・37.5人以上で不足人数を再計算
2026年7月15日まで| 2026年報告の期限| e-Gov、郵送または持参で提出
2026年夏〜秋| 新基準への対応| 業務設計、採用経路、管理職教育を整備
2026年秋〜冬| 採用・定着準備| 求人、実習、選考、支援機関連携を進める
2027年1月〜5月| 次回報告へ向けた調整| 採用状況、定着状況、不足人数を確認
2027年6月1日| 次回の報告基準日| 2.7%・37.5人以上で状況を確定



常用雇用労働者100人超の企業は納付金申告にも注意する

障害者雇用状況報告と、障害者雇用納付金の申告は別の手続きです。

常用雇用労働者100人を超える事業主は、障害者雇用納付金制度に基づく申告が必要です。

2026年度は、原則として2026年4月1日から5月15日までが申告・申請期間です。

法定雇用率を下回る場合は納付金を納付し、上回る場合は要件に応じて障害者雇用調整金などの申請対象となる場合があります。

企業は、

– 6月1日時点の障害者雇用状況報告
– 年度単位の障害者雇用納付金申告

を混同せず、それぞれの対象期間、提出先、期限、担当者を管理してください。



障害者雇用推進者の役割を明確にする

障害者を雇用する義務が生じる規模の企業には、障害者雇用推進者を選任する努力義務があります。

障害者雇用推進者は、報告書を作成するだけの担当者ではありません。

主な役割には次のものがあります。

– 障害者雇用方針の推進
– 採用計画の管理
– 配属先との調整
– 職場環境の整備
– 合理的配慮の調整
– 行政報告への対応
– ハローワークや支援機関との連携
– 雇用継続と定着支援

名目上の担当者を置くだけでなく、経営層、人事、管理職と調整できる権限と相談経路を整えることが重要です。



障害者を5人以上雇用する事業所は相談員を確認する

障害者を5人以上雇用する事業所では、障害者職業生活相談員を選任しなければなりません。

相談員は、障害のある社員から仕事や職場生活に関する相談を受け、必要な助言や調整を行います。

法定雇用率引き上げに伴って採用人数が増える企業は、次の点を早めに確認してください。

– 自社が選任対象になるか
– 誰を相談員とするか
– 資格認定講習が必要か
– 本人が相談しやすい配置か
– 相談内容をどこまで共有するか
– 相談後に誰が職場改善を行うか

相談窓口を設置しても、本人が話したことで不利益を受けると感じれば利用されません。

相談後にどのような対応をするのかまで、社内で決めておく必要があります。



法定雇用率2.7%を人数合わせにしてはいけない

法定雇用率への対応が迫ると、企業は求人を出し、人材紹介会社へ相談し、採用人数の確保を急ぎます。

しかし、採用をゴールにすると、入社後に次の問題が起こります。

– 任せる仕事が決まっていない
– 単純作業だけに固定される
– 配属先が受け入れ準備をしていない
– 管理職が対応に迷う
– 必要以上に仕事を制限する
– 評価基準が決まっていない
– 配慮が担当者に属人化する
– 問題が起きると本人や家族へ責任を求める

障害者雇用で必要なのは、

採用できる人を探したあとで仕事を考えることではありません。

自社に必要な仕事を整理し、どのような条件なら働けるのかを明確にしたうえで、適した人と出会うことです。

“2026年障害者雇用率2.7%時代の経営戦略|障害者雇用の課題と企業が生き残る組織設計”



企業が採用前に準備すべき7項目

1.障害者雇用の目的を言語化する

法定雇用率を満たすことは重要です。

しかし、それだけでは現場の納得を得にくくなります。

障害者雇用を通じて何を実現するのかを明確にします。

– 人材不足を補う
– 業務を標準化する
– 属人化を減らす
– 多様な人が働ける職場をつくる
– 管理職のマネジメント力を高める
– 社会的責任を果たす

目的が共有されていなければ、現場には人事から押しつけられた採用と受け取られてしまいます。

2.任せる業務を洗い出す

「障害者向けの仕事」を探すのではありません。

社内にある仕事を分解します。

– 毎日繰り返している業務
– 手順化できる業務
– 特定社員へ集中している業務
– 後回しになっている業務
– 正確性が求められる業務
– データ整理や入力業務
– 定期的な確認作業

複数部署から仕事を切り出し、一つの役割に再構成することも可能です。

ただし、雑務だけを集めてはいけません。

本人が仕事の目的と貢献を理解できる役割にする必要があります。

3.配属先管理職を採用前から参加させる

人事だけで採用を進め、入社直前に現場へ伝える方法は避けます。

管理職には事前に次の内容を共有してください。

– 担当業務
– 指導方法
– 合理的配慮
– 相談窓口
– 評価方法
– 緊急時の対応
– 外部支援機関との連携

管理職一人に、障害に関するすべての知識を求める必要はありません。

迷ったときに相談できる社内体制を用意することが重要です。

4.指示と業務手順を見える化する

曖昧な指示は、障害の有無にかかわらず混乱を生みます。

仕事を依頼するときは、次の内容を明確にします。

– 仕事の目的
– 優先順位
– 期限
– 完成基準
– 確認方法
– 困ったときの相談先

必要に応じて、手順書、チェックリスト、画像、作業見本、定型文を準備します。

5.合理的配慮を本人との対話で決める

合理的配慮は、障害名だけで一律に決めるものではありません。

本人へ次の内容を確認します。

– 困りやすい作業
– 得意な作業方法
– 通院や服薬の状況
– 疲労が強くなる条件
– 移動や設備上の障壁
– 理解しやすい指示方法
– 体調悪化の兆候
– 希望する相談頻度

企業側が可能なことと難しいことも率直に伝え、双方で調整します。

6.評価基準を決める

障害のある社員に対して、

「出勤してくれればよい」

という曖昧な評価を続けると、本人は成長や貢献を実感できません。

評価項目を具体化します。

– 業務の正確性
– 処理件数
– 納期
– 改善提案
– 報告・連絡・相談
– チームへの貢献
– 新しい業務の習得

必要な配慮を提供することと、仕事の成果を評価することは両立できます。

7.支援機関との接点をつくる

企業だけですべてを抱える必要はありません。

– ハローワーク
– 地域障害者職業センター
– 障害者就業・生活支援センター
– 就労移行支援事業所
– ジョブコーチ
– 医療機関
– リハビリテーション機関
– 産業保健スタッフ

などと連携できます。

問題が起きてから探すのではなく、採用前から相談先を確保してください。



障害者雇用で仕事をどう切り出すか

企業が最も悩みやすいのが、任せる仕事です。

よくある失敗は、単純作業だけを集めることです。

単純作業だけに固定すると、

– 業務量が安定しない
– 経験を生かせない
– 成長できない
– 周囲から役割を理解されない
– 本人が必要とされていると感じられない

という問題が起こります。

ステップ1:社内業務を細かく分解する

たとえば営業事務なら、

– 顧客情報の入力
– 見積書の確認
– 定型メールの送信
– 会議資料の準備
– データ集計
– 資料の整理
– 進捗確認

などに分けられます。

ステップ2:業務に必要な能力を整理する

– 身体的負担
– 移動頻度
– 集中時間
– 対人対応
– 判断の複雑さ
– 正確性
– 作業速度
– 突発対応

を整理します。

ステップ3:本人の強みと照合する

障害名ではなく、本人の経験、能力、希望、体調と照らし合わせます。

ステップ4:段階的に役割を広げる

最初からすべてを任せず、習熟状況を確認しながら担当範囲を広げます。

障害者雇用でも、成長に応じて役割を再設計することが必要です。



定着しない原因は配慮不足だけではない

企業が合理的配慮を提供していても、障害のある社員が退職することがあります。

そのとき、本人の体調や障害だけを原因にしてはいけません。

仕事を任せていない。
期待を伝えていない。
成果を評価していない。
相談しても状況が変わらない。
成長する機会がない。

このような状態では、本人は自分が必要とされていないと感じます。

「無理をさせない」という善意が、簡単な仕事しか任せない状態につながる場合もあります。

しかし、人は守られるだけでは働き続けられません。

必要な配慮を整えたうえで、

「この仕事を任せたい」
「あなたの経験を生かしてほしい」
「成果をきちんと見ている」

と伝えることが、役割意識と職場定着につながります。

“障害者雇用が定着しない本当の理由|足りないのは配慮ではなく任せ方だった” (https://newlifestylesdlm.jp/2026/06/13/shogaisha-koyo-teichaku-shinai-riyu-makasekata/)



合理的配慮と期待は両立できる

合理的配慮とは、仕事の成果を求めないことではありません。

本人が能力を発揮するうえで障壁となっているものを調整することです。

たとえば、

– 移動しやすい座席配置にする
– 口頭指示を文章でも伝える
– 通院に合わせて勤務を調整する
– 休憩の取り方を相談する
– 定期面談を設定する
– 作業手順を見える化する

といった対応があります。

これは、成果を免除するためのものではありません。

本人が成果を出せる条件を整えるための配慮です。

合理的配慮の先には、役割、期待、評価が必要です。

“障害者雇用とは何か|採用・合理的配慮・職場定着・家族連携を当事者が解説”



本人の「大丈夫です」だけで判断しない

障害のある社員が「大丈夫です」と答えても、本当に問題がないとは限りません。

当事者は、

– 仕事を失いたくない
– 迷惑をかけたくない
– 能力が低いと思われたくない
– 配慮を求めすぎる人だと思われたくない
– 周囲と違う扱いを受けたくない

という不安から、本音を隠すことがあります。

「大丈夫ですか」と尋ねるだけでなく、具体的に確認してください。

– 現在の業務量を続けられそうか
– 疲労が強くなる作業はあるか
– 指示で分かりにくい部分はないか
– 相談しにくいことはないか
– 職場で変えてほしいことはあるか
– 今後挑戦したい仕事はあるか

本人が話したあと、職場がどのように対応するかも重要です。

相談しても何も変わらなければ、本音を話さなくなります。



職場定着は出勤できているかだけで判断しない

毎日出勤している。
遅刻や欠勤も少ない。
仕事も終えている。

それでも、無理なく働けているとは限りません。

勤務中にすべての力を使い切り、

– 帰宅後に食事や入浴ができない
– 家事を家族へ任せきりにしている
– 休日は回復だけで終わる
– 翌日の出勤のために生活のすべてを使う

という場合があります。

私自身、障害者雇用で働き続けられている背景には、妻の支えがあります。

しかし、家族の献身を前提にした雇用は持続可能ではありません。

職場定着とは、出勤日数を維持することではありません。

本人が働きながら、生活も維持できる状態をつくることです。

“障害者雇用を続けるには家族の支えが欠かせない|中途重度障害者が語る職場の外側の定着支援”



家族へ連絡する前に本人同意を確認する

本人の遅刻や欠勤が増えた。
表情が暗い。
体調が心配だが、詳しく話してくれない。

そのようなとき、家族へ連絡するべきか迷う管理職もいるでしょう。

しかし、善意であっても、本人を飛び越えて家族と話を進めれば、プライバシーや信頼を損なう可能性があります。

家族へ連絡する前に、次の5点を確認してください。

1. 本人は家族との連携を希望しているか
2. 連絡する目的は明確か
3. 共有する情報は必要最小限か
4. 職場で先に改善できることはないか
5. 家族以外の支援先を活用できないか

家族連携は、本人の日常管理を家族へ任せるための仕組みではありません。

本人が安心して働き続けるために、必要な範囲で協力する仕組みです。

連携の中心に置くべきなのは、会社でも家族でもありません。

本人です。

“障害者雇用で企業は家族とどう連携するべきか|本人同意・情報共有・緊急連絡の考え方”



採用経路を人材紹介会社だけに限定しない

障害者求人を出しても応募が集まらない場合は、採用経路を見直してください。

企業が連携できる窓口には、

– ハローワーク
– 地域障害者職業センター
– 障害者就業・生活支援センター
– 就労移行支援事業所
– 特別支援学校
– 医療機関
– リハビリテーション機関
– 地域の支援者
– 社員や関係者からの紹介

などがあります。

支援機関との関係は、採用だけでなく、入社後の定着支援にも役立ちます。

“障害者雇用の応募者を増やす方法|エージェントだけに頼らない採用ルートの再設計”



障害者雇用を支える社内体制

障害者雇用を、一人の担当者に任せてはいけません。

経営層

障害者雇用の目的を示し、人員、予算、方針を確保する。

人事・障害者雇用担当者

採用、配慮調整、行政対応、支援機関連携を担う。

配属先管理職

日常の業務指示、役割設定、評価、面談を担う。

現場の同僚

特別な支援者ではなく、共に働く社員として必要な情報を共有する。

産業保健スタッフ

健康管理、復職、体調変化を専門的に支える。

外部支援者

企業と本人の間に入り、業務適応や生活上の課題を整理する。

大切なのは、誰か一人がすべてを抱えないことです。

そして、家族や専門職が関わる場合も、本人を意思決定から外さないことです。

“障害者雇用の定着を支える多職種連携|本人を中心にした支援チームのつくり方”



管理職が面談で確認したい質問

業務について

– 得意だと感じる仕事はありますか
– 難しい仕事や時間がかかる仕事はありますか
– 指示と期限は分かりやすいですか
– 現在の業務量を続けられそうですか

配慮について

– 現在の配慮で役立っているものはありますか
– 使いにくい配慮はありますか
– 新しく困っていることはありますか

成長について

– 今後やってみたい仕事はありますか
– 身につけたい知識やスキルはありますか
– どのような役割を担いたいですか

相談体制について

– 困ったときに相談できる人はいますか
– 相談しにくい理由はありますか
– 面談頻度は適切ですか

働き続けるために

– この働き方を続けた場合、負担になりそうなことはありますか
– 職場で変更できることはありますか
– 外部支援者との連携を希望しますか

質問するだけでなく、回答を受けて何を変えたのかを本人へ伝えることが、信頼につながります。



企業が避けたい7つの失敗

1.採用後に仕事を考える

待機時間や雑務中心の配置につながります。

2.障害名だけで能力を判断する

同じ障害名でも、経験、能力、必要な配慮は異なります。

3.配慮を一度決めて固定する

仕事や体調が変われば、必要な配慮も変化します。

4.仕事を任せず、期待も伝えない

過度な保護は、役割の喪失や意欲低下につながります。

5.現場へ丸投げする

人事、管理職、支援担当者の役割分担が必要です。

6.本人を飛び越えて家族や支援者と話す

本人同意と情報共有範囲の確認が必要です。

7.退職理由を本人の障害だけに求める

業務設計、指示、評価、相談体制も検証してください。



法定雇用率2.7%対応チェックリスト

経営・方針

□ 新しい法定雇用率と対象範囲を把握している
□ 必要雇用人数と不足人数を確認している
□ 障害者雇用の目的を経営層が説明できる
□ 必要な担当者と予算を確保している
□ 人数だけでなく定着状況も評価している

行政対応

□ 2026年6月1日時点の報告基準を理解している
□ 2026年7月15日の提出期限を管理している
□ 最新様式と記入要領を確認している
□ e-Gov利用環境または郵送準備ができている
□ 提出資料と算定根拠を保管している
□ 納付金申告との違いを理解している

業務設計

□ 入社前に担当業務を決めている
□ 業務の目的と完成基準を説明できる
□ 手順書やチェックリストがある
□ 成長に応じて担当範囲を広げられる
□ 雑務だけに固定していない

受け入れ体制

□ 配属先管理職が採用前から参加している
□ 現場への情報共有範囲を決めている
□ 相談担当者と代替担当者がいる
□ 問題発生時の対応経路が明確である
□ 外部支援機関との連絡先を確保している

合理的配慮

□ 本人と対話して内容を決めている
□ 配慮の目的を双方が理解している
□ 定期的に見直している
□ 配慮と役割・評価を両立させている
□ 個人情報の共有範囲を管理している

評価・定着

□ 成果を評価する基準がある
□ 定期面談を実施している
□ 「大丈夫です」以外の具体的な質問をしている
□ 家族の献身を前提にしていない
□ 不調や退職時に組織側の仕組みも振り返っている

一つでも未整備の項目があれば、採用を急ぐ前に見直す価値があります。



障害者雇用は組織の弱点を改善する機会になる

障害者雇用のために、

業務を分解する。
指示を明確にする。
評価基準を言語化する。
相談経路を見える化する。
人事と管理職の役割を整理する。

これらは、障害のある社員だけに役立つものではありません。

新入社員。
病気から復職した社員。
子育てや介護を担う社員。
日本語を母語としない社員。
働き方に制約のある社員。

多様な人が力を発揮しやすい職場づくりにつながります。

障害者雇用がうまくいかないとき、障害のある本人だけを変えようとしてはいけません。

仕事の仕組み、指示、評価、相談体制、管理職の関わり方を見直す必要があります。

障害者雇用は、企業の組織設計力を映し出す鏡です。



当事者が企業へ伝えたいこと

障害のある人は、配慮だけを求めて働いているのではありません。

役割を持ちたい。
成果を出したい。
誰かに必要とされたい。
経験を生かしたい。
成長したい。

私も同じです。

障害があるからといって、仕事への思いや責任感まで失ったわけではありません。

一方で、障害を隠し、無理を続ければ、働き続けられなくなります。

だからこそ企業には、

必要な配慮を整えたうえで、役割と期待を伝える雇用

をつくってほしいと思います。

本人も、自分の状態や必要な支援を言葉にする。

企業も、任せたい仕事や期待する成果を言葉にする。

互いに話し合い、働き方を調整する。

それが、障害者雇用を人数合わせで終わらせず、共に働く仕組みに変えていきます。



2026年7月以降に企業が進める6段階

第1段階:現状把握

– 必要雇用人数を確認する
– 現在の障害者雇用人数を確認する
– 不足人数を計算する
– 既存社員の定着状況を確認する

第2段階:業務設計

– 社内業務を分解する
– 担当業務を決める
– 必要能力を整理する
– 配属先候補を決める

第3段階:採用経路の整備

– ハローワークへ相談する
– 支援機関と関係をつくる
– 就労移行支援事業所へ相談する
– 職場実習を検討する

第4段階:選考の見直し

– 障害名だけで判断しない
– 実際の業務内容を説明する
– 本人の経験と希望を確認する
– 必要な配慮を話し合う

第5段階:入社後支援の設計

– 指導担当者を決める
– 面談頻度を決める
– 配慮の見直し時期を決める
– 評価基準を本人へ伝える
– 外部支援者との連携方法を決める

第6段階:組織として振り返る

– 本人と管理職の双方から話を聞く
– 業務量と指示方法を見直す
– 配慮が機能しているか確認する
– 成長機会を設ける
– 成功事例を社内で共有する



よくある質問

法定雇用率2.7%はいつからですか

民間企業では、2026年7月1日から2.7%へ引き上げられます。

対象となる企業規模はどう変わりますか

常用雇用労働者37.5人以上の事業主が対象となります。

2026年6月の報告は何%で計算しますか

2026年6月1日時点では2.5%が適用されるため、2026年の障害者雇用状況報告は2.5%を基準に行います。

2026年の報告期限はいつですか

2026年7月15日です。

不足人数を採用すれば対応は完了ですか

人数の達成だけでは十分ではありません。

業務設計、合理的配慮、相談体制、評価、管理職教育、定着支援が必要です。

どのような仕事を任せるべきですか

障害名だけで決めず、社内業務を分解し、本人の経験、能力、希望、必要な配慮と照合して決めます。

家族へ連絡してもよいですか

原則として、本人の意向を確認し、目的と共有範囲を明確にします。

生命や安全に関わる緊急時を除き、本人を飛び越えた連携は慎重に判断してください。

管理職に専門知識がない場合はどうすればよいですか

管理職一人にすべてを求めず、人事、産業保健スタッフ、相談員、外部支援機関へ相談できる体制をつくります。



まとめ|2.7%時代に必要なのは採用力より設計力

法定雇用率が引き上げられると、多くの企業が採用を急ぎます。

しかし、本当に必要なのは、採用人数を集める力だけではありません。

障害のある社員が、

安心して相談できる。
必要な配慮を受けられる。
役割を任せてもらえる。
成果を評価される。
成長を期待される。
生活を壊さずに働き続けられる。

その環境をつくる設計力です。

障害者雇用は、家族の献身、一人の担当者の努力、現場管理職の善意だけでは続きません。

経営、人事、管理職、現場、本人、家族、支援機関が、それぞれの役割を持つ必要があります。

そして、すべての連携の中心には、本人の意思を置かなければなりません。

法定雇用率2.7%を、人数を満たすための期限にするのか。

多様な人が力を発揮できる会社へ変わる機会にするのか。

その違いをつくるのは、採用前から始まる企業の準備です。



障害者雇用を体系的に学びたい方へ

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法定雇用率への対応に悩んでいるのは、障害者雇用担当者だけではありません。

採用計画を考える人事担当者。
配属後の対応を任される管理職。
どの仕事を切り出すか悩む現場責任者。
会社へ本音を伝えられない当事者。
生活を支えながら不安を抱える家族。

それぞれが相手を思いながら、正解が分からず迷っています。

この記事が役に立ったと感じたら、人事部、管理職、経営層、現場の同僚へ共有してください。

一度の共有が、採用や職場定着に一人で悩んでいる担当者を支えるかもしれません。

SNSでシェアするときは、次の問いを添えてください。

「私たちの会社は、人数だけでなく、採用後まで設計できているだろうか」



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障害者雇用を、法定雇用率を満たすための人数合わせで終わらせない。

必要な配慮を受けながら役割を持ち、共に働き、共に成長できる仕組みへ。

あなたの会社では、2026年7月に向けて「何人採用するか」だけでなく、「どのように働き続けてもらうか」まで設計できていますか。

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