子どもの感覚を引っ張るということ

Spread the love

10年前、僕は突然「障害者」になった。
脳出血による左半身麻痺。それまで当たり前にできていたことが、ある日を境にほとんどできなくなった。

リハビリは想像以上に過酷で、少しでも動かそうとするだけで痛みが走る。
「どうしてこんなことになったんだろう」
何度も何度も考えた。でも、どれだけ悩んでも時間は巻き戻らない。

そんな日々の中で、ふと気づいたことがあった。

「どうせ障害者になったんだから、もう無理に大人のふりをしなくていいんじゃないか?」

これが、僕の心を少し軽くしてくれた言葉だった。


大人になるにつれて失っていったもの

子どもの頃の僕は、とにかく何にでもワクワクするタイプだった。
ゲームも、おもちゃも、外で遊ぶのも、すべてが新鮮で楽しかった。

でも、大人になるにつれて、「子どもっぽい」と言われることが増えた。
「もういい歳なんだから」「そんなの卒業しなよ」
そんな言葉を聞くたびに、少しずつ「子どもの感覚」を捨てていった。

社会に適応するためには仕方ないことだと思っていた。
仕事では大人としての責任が求められるし、周囲の期待に応えないといけない。
だから、子どもみたいに純粋に楽しむことより、「大人らしくすること」を優先して生きてきた。


障害者になったら、もう「大人のふり」をしなくてもよくなった

そして10年前、突然、障害者になった。

最初は「できないことばかり」に目がいった。
歩くこと、利き手での作業、スムーズな会話。
どれも普通にできていたはずなのに、今では努力しないとできない。

「こんな状態で、どうやって生きていけばいいんだろう……」

でも、ある時、ふと思った。

「もう無理して大人ぶらなくてもいいんじゃないか?」

今までは、周囲の目を気にして「ちゃんとした大人」を演じていた。
でも、障害者になったことで、それをやめてもいい気がした。

むしろ、社会は「障害者には手を差し伸べるもの」と考えていることが多い。
健常者の頃は、「自分でなんとかしなきゃ」と思っていたのに、
障害者になったら「助けてもらって当然」みたいな空気を感じることもあった。

だったら、無理して大人のふりをする必要なんてない。
子どもみたいに素直に「助けて」と言ってもいいし、
楽しそうなことに全力でワクワクしてもいい。

そんな風に思えたとき、少し心が軽くなった。


「大人の責任」と「子どもの自由」のバランスを取る

とはいえ、現実はそんなに甘くない。
障害者になったとはいえ、仕事をしないと生活できないし、
社会の一員としての責任もある。

だから、「子どもっぽくていい」と割り切る一方で、
「社会とのバランス」も考えるようになった。

たとえば、
仕事ではしっかりと責任を持つ
でも、プライベートでは思いっきり自由に楽しむ
助けが必要なときは素直に頼る
だけど、甘えすぎないように気をつける

こうやって、自分なりの「子どもっぽさ」と「大人の責任」のバランスを取るようになった。


障害者になったからこそ、見えた世界

障害を負ったことで、できなくなったことはたくさんある。
でも、その分、「見えるようになった世界」もある。

たとえば、
大人のふりをしなくてもいい自由さ
素直に楽しむことの大切さ
無理に「社会の普通」に合わせなくてもいいという気楽さ

僕は、これからも「子どもの感覚」を大事にしていきたい。
「障害者だからこうあるべき」という固定観念に縛られず、
自分が楽しいと思えることに素直に向き合って生きていく。

もし、今この記事を読んでいるあなたが、
「大人だからこうしなきゃ」とか
「社会の期待に応えないと」とか、
そんなプレッシャーを感じているなら、

ちょっとだけ、子どもの頃の感覚を思い出してみてほしい。

好きなことにワクワクしたあの気持ち。
純粋に「楽しい!」って思えた時間。

それは、障害の有無に関わらず、誰にでも大切なもののはずだから。


最後に──「子どもっぽさ」は悪いことじゃない

大人になっても、子どものように楽しんでいい。
障害者になったら、もっと自由に生きてもいい。

社会は「大人らしさ」を求めるけど、
僕は「自分らしさ」を大切にしたい。

だから、これからも、子どもっぽく、でも大人としての責任も忘れずに、
自分なりのペースで歩んでいこうと思う。

あなたも、一緒に「子どもの感覚」を取り戻してみませんか?

“子どもの感覚を引っ張るということ” への1件のフィードバック

コメントを残す

日本の水力発電は古い電源ではない|ゼロカーボン時代を支える「水の国」の未来戦略

Spread the love

日本の水力発電は古い電源ではありません。揚水発電、可変速揚水発電、小水力発電、マイクロ水力を…

自伝的Web小説「燃える」|中途重度障害者として人生を失いかけた私が、もう一度生き直した原点の物語

Spread the love

脳出血で左片麻痺となり、人生を失いかけた私が、娘との約束、母の言葉、リハビリ、信仰、但馬の土…

水力発電は本当に環境にやさしいのか?ゼロカーボン時代に知るべきメリット・デメリットと日本の未来

Spread the love

水力発電は本当に環境にやさしいのか。CO2排出量の少なさ、燃料輸入に頼らない強み、出力調整力…

Recent Articles

『不自由な自由』 〜当たり前が壊れた後の、新しい世界の歩き方〜をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む

Verified by MonsterInsights