自分に正直に生きるということ

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30年間、健常者として生きてきた日々。そしてその後、障害を抱える人生が11年続いています。その過程で、「健常者」としての社会、そして「障害者」としての社会、その両方を経験してきました。健常者として見えていた世界の一部が、障害者になった瞬間に大きく変わったことは言うまでもありません。そして、それが私にとっては悲しいものであり、時には辛いものでした。自分に正直に生きることが、こんなにも難しい世の中なのかと、しみじみと思い知らされています。

健常者であった頃、私は「普通」に社会で生活し、働き、周りの期待に応えることが当たり前だと考えていました。少しでも疲れていると感じても、周りの目や世間の常識に押され、無理をしてでも笑顔を保ち、仕事をこなしていたのです。それが社会人としての「常識」だと教えられてきたからです。しかし、障害者としての生活を始めてから、社会の「常識」がいかに健常者の視点で作られているかを痛感しました。障害者になったことで、働くこと、外出すること、日常生活を送ることがどれほど困難であるかを初めて理解しました。そして、そんな状況にありながらも、周りからの期待や世間の目が変わることなく、依然として「普通」を求められていることに対して、社会がどれだけ狂っているかを実感しました。

障害を持つ人間にとって、「自分に正直に生きる」ことは、健常者にとってのそれとは全く異なる意味を持ちます。多くの人は「自分に正直に」という言葉を聞くと、素直に自分の気持ちを表現する、あるいは自分の夢を追い求めるといったポジティブなイメージを抱くかもしれません。しかし、障害者としての生活において、自分に正直に生きるとは、日常の些細なことでも「できない」「難しい」と言える勇気を持つことです。これは決して簡単なことではありません。多くの場面で、世間や社会の期待が重くのしかかってくるからです。例えば、外出する際に階段やエレベーターが無い場所を避けるだけで「わがまま」と言われることがあります。また、職場で無理のない範囲で仕事をお願いしても、「甘えている」と見られることがある。自分に正直に生きることが、時に「自己中心的」と見なされ、逆に社会の偏見や差別にさらされることが少なくないのです。

しかし、この「正直さ」を手放してしまうと、私たちは自分を見失うことになるのです。障害者として生きる日々の中で、自分に正直であることは、自分自身を守るために欠かせないものです。社会や他人の期待に合わせて無理をすればするほど、自分の心や体が壊れていくのを感じることになるでしょう。私は、自分が感じる「できない」「辛い」「無理をしたくない」という気持ちに正直であることが、自分を守る唯一の方法だと気づきました。それでも、この正直さが時に「怠惰」として批判されることもあります。しかし、自分の体や心が悲鳴を上げているときに、それを無視して生きていくことは、本当の意味で「生きている」とは言えないのではないでしょうか。

私たちは、社会の価値観や常識に振り回されるのではなく、自分自身の気持ちや体調に寄り添い、自分が「生きやすい」道を見つけるべきなのです。障害者としての私の生活には制約が多いですが、それを受け入れ、正直に向き合うことで、自分らしい生き方が少しずつ見えてくるのです。他人の期待に応えるために自分を押し殺すのではなく、自分の本当の気持ちに正直であり続けることが、どんな状況にあっても自分を守り、生き抜くための強さとなるのです。

「自分に正直に生きる」ことは、時に孤独を感じるかもしれません。しかし、社会の狂った価値観に対して、自分の心を守るためには、これしかないのです。障害者として感じる社会の無理解や偏見は、私たちを苦しめることもありますが、それに屈することなく、自分を大切にすることが私たちの唯一の選択肢です。

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