はじめに|「できること」で勝負するしかなかった
10年前、突然の脳出血で倒れ、私は左半身が麻痺しました。
「もう働けないかもしれない」──そう言われた瞬間、自分の人生が音を立てて崩れていくのを感じました。
それでも私は、社会に戻りたかった。
誰かの役に立ちたかった。
「障害者として働く」のではなく、「私として、貢献する」ことがしたかったのです。
そのために腹を括ったのは、「できないこと」で評価されない代わりに、「できること」を徹底的に提示するという覚悟でした。
そして私が再び社会の中で信頼され、評価されるために磨き上げてきたのが、
- 属人化の排除
- 業務の標準化
- 業務効率化
という3つの仕事術でした。
この3つは、障害を抱えていても──いや、抱えているからこそ、見えてくる仕事の本質でもあります。本記事では、私の実体験を交えながら、これら3つの考え方と実践例を丁寧に綴ります。
第1章|属人化の排除──「その人しかできない」は、組織のリスク
倒れた瞬間、気づいた自分の“弱さ”
障害を負う前の私は、責任感が強く、仕事を一手に引き受けるタイプでした。
しかしそれは、裏を返せば「自分しかできない状態=属人化」を生んでいたのです。
病院のベッドの上で真っ先に思い出したのは、自分の机の上の業務ファイルと、誰にも共有できていなかった知識でした。
「あれは、俺しか分からないままになっていた…」
この後悔が、私の働き方を根底から変えるきっかけとなりました。
属人化を防ぐ具体的なアクション
再就職後、私は次の3つを実践しました。
- 業務手順をすべてドキュメント化
ExcelやGoogleドキュメントを使って、「作業レベル」まで細かく手順を文字にする。 - ファイルの場所と命名ルールを統一
「誰でも迷わず探せる」フォルダ構造をつくり、属人知識を可視化。 - 週1回の“業務共有会”を提案
チーム内での進捗共有と引き継ぎの習慣化により、急な欠勤にも強い体制へ。
属人化を排除するということは、
**「他人ができるようにする」=「自分がいつでも安心して休める」**ということでもありました。
第2章|標準化の力──誰でもできるからこそ、人が育つ
再就職先で「救われた」標準化
私が障害者雇用で再び職場に立ったとき、最初に感じたのは「不安」でした。
どこまで自分ができるのか。
迷惑をかけないだろうか。
そんな気持ちを拭ってくれたのが、「標準化された業務フロー」でした。
- マニュアルがあり、
- 決められた様式があり、
- 手順に従えば一定の成果が出せる
──これこそが、私にとっての“安心”でした。
標準化がもたらす“見えない優しさ”
私は、それを今度は「誰かのために」提供する側になろうと決めました。
- 「新人が1日で操作できる」業務ガイド
- 書類のテンプレート化
- 事務プロセスのフローチャート化
それらは一見、地味な作業です。
でも、次にその業務を担う人の不安を取り除く、大きなギフトになります。
**標準化とは、“優しさの構造化”**なのだと、私は確信しています。
第3章|効率化という武器──「限界がある」からこそ、知恵で戦う
1日中フルで働けなくなった現実
左半身が思うように動かない身体では、
健常者と同じペースで働くのは難しい。
特に午後は疲労が蓄積し、頭も体も鈍ります。
だからこそ私は、限られた時間・体力の中で、**「最小の労力で最大の成果を出す仕組み」**を追求するようになりました。
実際に取り組んだ効率化の工夫
- 定型作業のテンプレート化
毎週のレポート提出業務を、関数と自動更新付きフォーマットで効率化。 - マクロによるデータ処理
日々の集計業務を5分の1の時間に短縮。 - Teams連携で連絡・依頼のルール化
「〇曜日にこの手順で」など、手戻りをなくす習慣づくり。
これらの取り組みが成果として認められたとき、私はようやく**「障害があっても戦える」**という自信を得ました。
第4章|“地味な積み重ね”が信頼をつくる
私は、スピード勝負の世界では敵いません。
でも、「誠実に、丁寧に、再現可能な仕組みを整える」ことなら、誰よりもやれる自信があります。
地味で目立たない取り組みかもしれませんが、それが少しずつ周囲からの信頼に変わっていくことを、私は何度も経験してきました。
- 「いてくれて助かる」
- 「この人に任せれば安心」
- 「一緒に働きたい」
──こう言ってもらえるようになるまで、私は「属人化の排除・標準化・効率化」という、3つの“静かな努力”を続けてきたのです。
第5章|「できることを提示する」という覚悟
障害を抱えて働くというのは、ある意味で「弱さ」をさらけ出す行為でもあります。
でも、それは同時に「人と共に働く力」でもあると、私は思います。
私は今でも、苦手なことやできないことがあります。
でも、自分にできることを丁寧に提示し、周囲と共有し、支えることなら、まだまだやれることがある。
その想いが、今の働き方の根幹です。
おわりに|あなたにも、できることがある
もし今、この記事を読んでいるあなたが、
「障害を負ってもう働けない」
「社会に必要とされていない気がする」
──そんな気持ちを抱えているのなら、私はあなたに伝えたい。
できないことは、あっていい。
でも、できることも、必ずある。
そしてそれは、あなたが過去に苦しんだ経験や、失ったものの中にあるのかもしれません。
私が再び社会で信頼されるようになったのは、
「できること」を提示し、地道に実践してきたからです。
それは決して特別な才能ではありません。
今日からでも始められる「選択」と「工夫」の積み重ねです。
最後に|このブログを通じて
このブログは、私のように「もう一度、働きたい」と思っている誰かに届いてほしいと願って書いています。
- 社会と再びつながりたい人
- 自分の価値に自信が持てない人
- 障害を受け入れることに迷っている人
そんな方の背中を、少しでも押せたなら、この言葉たちに意味があったと思えます。
「自分にできること」で働く。
その覚悟と工夫が、人生をもう一度、照らしてくれます。
シェア大歓迎です
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一人でも多くの人が、「できること」で貢献できる社会を、共につくれたら嬉しいです。




















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